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⬛︎ 小坪(おつぼ)館のご説明 千葉県袖ケ浦市
小坪館は南に小櫃川、 北に松川が流れる標高約 1.5メートルから2mの自然堤防上に 築かれました。 現在の中川小学校付近が小坪館の推定地とされています。周辺には小 坪館との関係も考えられる「榎戸」という小字名、 「中溝」という伝承地名も残っています。 小坪館の詳細は不明ですが、鎌倉時代前期には、 横田郷の在地領主と考えられる「横 田悪四郎入道」なる人物が上総国御家人として記録されています。 戦国期になると横 田郷は真里谷武田氏の支配を受け、武田氏の流れをくむと言われる葛田氏が在地領 主となっていた可能性があります。 葛田氏の初代とされる信恒は、 里見義堯と戦ったのち 里見氏の軍門に下り、 横田郷を与えられたと伝わります。
小坪館の全体構造については不明ですが、 小坪館の中心地と思われる中川小学校 東南には横田神社が鎮座していて、そのまわりには土塁や堀の痕跡にも見える跡があるこ とから、 横田神社も小坪館の一部であった可能性が考えられます。
小坪館北側には戦国期には存在したと考えられる街道 (久留里街道) が通り、街道 沿いには上宿・中下 (宿) の地名が残ります。 葛田家に伝わる古文書からは、天正8 年(1580年) 横田に新宿が立てられ、里見氏がこれについて 「不入」 を承認すると ともに市の開催を要請したことがわかっています。
さらに、小坪館の北西には横田郷へ入る北の入口を意味すると思われる 「北口城」 があります。 北口城は松川、 小櫃川の両河川の水運及び街道の往来を直接押さえる機 能を担っていたと思われます。 小坪館は北口城と連携し、 横田郷の中心的城館の役目 を担っていたと思われます。
小坪館の北を流れる松川は、遡航すると川原井城や川原井里見城へと繋がるとともに、 最上流部より丘越えすると養老川水系等へと繋がる重要な水上交通網でした。 小坪館 はそれらの城とも連携していた可能性があり、 小櫃川はもとより、 松川における水上交通 網は中世期においては小櫃川同様の重要性を持っていたと思われ、小坪館を考える上 で欠かせない鍵になるといえます。
⬛︎ 御城印デザインのご説明
小坪館が築かれた横田郷は、 中世期には上総国畔蒜荘の荘園が広がっていたこと が調査により分かっています。これにより、 15世紀前半の横田郷の姿が具体的に復元さ れました。 御城印は横田郷の復元鳥瞰図 (笹生衛氏作成)をモチー フにするとともに、街道や地形の分かる地図をデザインしました。
あわせて、戦国期には真里谷武田氏、続いて里見氏の支配下 にあったと推察されることから武田氏と里見氏の家紋を配置しました。 小坪館の城主と伝わる武田一族葛田氏も武田氏の家紋 「四ツ菱」 を使用しています。
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